映画会
2009.11.28
炭鉱映画会 東京大学法文2号館1大教室 14:00〜17:30
上映映画
- 「黒い炎」1960年 大映(北炭) 前半25分
- 「立坑」1960年 松岡プロダクション 約23分
- 「燃えよ石炭」1970年 制作会社不明(常磐炭砿) 38分
- 「愛と希望の炭鉱」1967年 東映(通産省) 約27分
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趣旨
戦後社会の高度経済成長を支えた炭鉱を、視覚芸術はいかにとらえ、どのように表現し、現在にどのような炭鉱イメージをもたらしたのか。戦後の炭鉱と視覚表現の歴史的な関わりを検証いたします。同時に、かつて‘地下’資源で繁栄した産炭地が、エネルギー政策転換などで経済的苦境にある現在、炭鉱などを主題にした美術をはじめとする視覚芸術の‘文化’資源化を提起し、その活性化の一つの可能性を模索します。さらに、石炭とその問題の表現を通じて、私たちを取り巻くエネルギーに対する考え方、姿勢などについて再考する機会ともなることを期待する企画です。 -
上映作品について
保安啓発用などの具体的な目的を持って作られた作品でありながら、人手募集などの他のメッセージも詰め込まれており、作品、資料としての極めて興味深い内容になっています。
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解説
吉岡宏高(NPO炭鉱の記憶推進事業団・札幌国際大学准教授)
2004.3.20
第4回映画会 東京国立近代美術館フィルムセンター小ホール 13:00-17:30
上映映画 第一部 : 戦争末期の文化映画とアニメーション
- 『桃太郎の海鷲』(37分、藝術映画社、1942年)
- アニメーション。海軍省報道部が企画した作品で、桃太郎が犬・猿・キジの部隊を率いて鬼が島を撃破する物語。日本初の長編アニメーションといわれ、興行的にも成功した。なお、同じ瀬尾光世演出による『桃太郎・海の神兵』(1945)という作品もある。
- 『學徒出陣』(15分、文部省、1943年)
- 1943年10月21日、雨の神宮外苑陸上競技場で行われた「出陣学徒壮行会」の様子を捉えたドキュメント。軍靴を鳴らしグラウンドの泥を蹴って行進する映像は、あまりにも有名である。「日本ニュース」にも同じ壮行会を捉えたものがあるが、今回は文部省版を上映する。
- 『戰ふ小國民 その四 都會教場』(18分、電通映画社、1944年)
- 都内の国民学校で行われる軍国教育や銃後の実習を描いた作品。防空演習、明治神宮参拝、洗張りの実習、ワラ刺突などの様子を映し出す。本作はシリーズ作品で、その他「農村編」「総蹶起編」などがある。
- 『わたし達はこんなに働いてゐる』(18分、朝日映画社、1945年)
- 軍服工場で働く女性たちの姿を淡々と描く、いいようのない閉塞感に満ちた作品。敗戦寸前の数少ない文化映画のひとつ。
上映映画 第二部 : 終戦後の文化映画とアニメーション
- 『ムクの木の話』(20分、東宝教育映画、1947年)
- アニメーション。一本の木に訪れる四季の様子を、黒澤作品などで知られる作曲家・早坂文雄の美しい音楽とともに描く。
- 『こども議会』(19分、東宝教育映画、1947年)
- 傘のない級友のためにクラスじゅうで話し合い、全校朝礼で発表するまで。ぎこちない民主主義の啓蒙に注目。
- 『この妻の願いを』(10分、日本映画社、1949年)
- 悪徳商法に対して主婦が団結して立ち向かうドラマ仕立ての作品。詳細は見てみないと分かりません。
- 『清らかに美しく』(22分、日本映画社、1949年)
- 学校・児童・PTAが協力して立派な柵ができあがるまでの様子を描いたドラマ仕立ての作品。詳細は見てみないと分かりません。
- 『はえのいない町』(12分、岩波映画社、1950年)
- はえの害に困った児童が駆除運動を展開し、ついに町からはえを一掃する。『社会科教材映画体系』の中の一作で、当時最も売れた文化映画。
2003.4.26
第3回映画会 東京国立近代美術館フィルムセンター小ホール 15:30-18:00
上映映画
- 『日本の姿』シリーズより「新興産業」「都市と文化」(鉄道省制作、1939-1940年)
- 前回上映した「敬神崇祖」「青年徒歩旅行」「勤労の村々」に引き続き、鉄道省制作シリーズの残る2作を見る。製紙工業と製糸工業のプロセスを追う「新興産業」。東京(帝都)、京都・奈良(古都)、大阪(商都)の風景を淡々と映しだす「都市と文化」。いずれの作品にも英語題が付されており、対外向けの意味づけを推察できる。(各12分)
- 『勝利への生産』(藝術映画社、1942年)
- 起重機工場の一日を、工員たちの姿を中心に描く文化映画。団欒、朝礼、見習い工や女子工員の姿、会議、昼休みの楽隊、防空演習、そして操業風景が綴られる。勤労を賛美し生産の躍動感を強調する演出に彩られていることは言うまでもない。(35分)
- 『心の武装』(内務省警保局監修、防諜協会製作、1944年?)
- 隠密の時代劇風再現、外国映画から引用した白人の姿、敵国言語を用いた看板のアップなどの映像によって、諜報活動の恐ろしさを喚起する内容になっているらしいが、資料によって梗概がまちまちであり、実際のところ見てみなければ分からない。制作年も不明であり、本作の評価は映画会の参加者に委ねられている。(52分)
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発表
姜雄(文化資源学研究室助手)「文化映画としての産業映画」
2002.11.30
第2回映画会 東京国立近代美術館フィルムセンター小ホール 15:30-18:00
上映映画
- 『はたらく一家』 (成瀬巳喜男監督、東宝、1939)
- 1939年、劇映画の監督たちは、ある者は戦意昂揚に積極的に尽力し、ある者は芸道物にわずかな逃げ場を見出していた。そうした中で、貧しい一家の日常を繊細に綴る『はたらく一家』は、時局の要請と作家の内的傾向とが接点を見出しえた稀有な例として注目される。(65分)
- 『日本の姿』シリーズより「敬神崇祖」「青年徒歩旅行」「勤労の村々」(鉄道省制作、1939-1940)
- 鉄道省旅客課制作による一種の紀行もの。「敬神崇祖」では聖蹟や神社が、「青年徒歩旅行」では鹿島詣でと筑波山登りをする青年群が、「勤労の村々」では全国各地の農業・漁業の姿が映し出される。祖国の姿を再認識することが国民精神総動員につながる、との制作意図が当時の文献からうかがえる。なお、上映当時は本3作に「都市と文化」「新興産業」を加えた5作シリーズであった。(計34分)
- 『病院船』(今村貞雄構成、日本赤十字社推薦、新興キネマ、1940)
- 傷病兵を内地に送還する船中で、大車輪の活躍をする看護婦たち。文化映画の強制上映開始とともに、新興キネマが設立した東京文化映画製作所の作品で、上映当時極めて高い評価を得た。その際立った作為性に、「文化映画」の地平を更新する一つの画期が見出されるだろう。(36分)
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発表
常石史子(東京国立近代美術館フィルムセンター研究員)「上映映画解説など」
2002.9.27
第1回映画会 東京国立近代美術館フィルムセンター小ホール 16:00-18:00
上映映画
- 『日本ニュース』第23号、24号(1940年)
- 紀元二千六百年記念式典の記録。
- 『戦ふ兵隊』(1939年、東宝映画文化映画部制作、監督・亀井文夫)
- 武漢作戦に取材。 陸軍参謀本部からの指示で上映禁止。
- 『信濃風土記より小林一茶』(1941年、東宝映画文化映画部制作、監督・亀井文夫
- 当年度優秀文化映画ベスト6となるが、文部省は文化映画と認定せず。