オンライン研究会
趣旨説明文
研究会報告
特別講演会
「木下直之から鷹野隆大への質問、写真家ってどんな仕事?:個展『毎日写真1999-2021』(於:国立国際美術館)を起点に」
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開催日:2022年5月14日(土)(開場午後13:45、開始時間14:00、終了15:30)
対象:文化資源学会会員限定(*先着順で最大100名まで受付)
登壇者:木下直之(静岡県立美術館)、鷹野隆大(写真家)
開催形式: 登壇者は対面で対談を行い、その様子をWeb会議サービスZoomで参加者にリアルタイムでオンライン中継する(接続方法は申込者にメールで通知します)。
[木下直之から鷹野隆大への質問]
写真が発明される以前に「写真家」は存在しないはずだが、日本には「写真」という言葉がすでにあったから、少なくとも「真を写す」人はいたことになる。そんな日本にphotographyが伝わると、すぐに「写真」と訳され、つぎつぎと「写真師」が登場し、営業を始めた。肖像を撮っても、風景を撮っても、写真は商品となった。
やがて、「写真師」は「写真家」と呼ばれるようになる。撮影・現像技術の簡便化、カメラの小型化に伴って、アマチュアの「写真家」、あるいは「カメラマン」が増えた。雑誌や展覧会が、その成果を発表する場となった。こうした写真のプロとアマの共存、棲み分けは、つい最近まで続いていたはずだ。
ところが、その境界線は急速に崩れ出した。デジタル写真が普及し、カメラよりもスマホでの撮影が好まれ、紙に焼くよりも電子データで所持する。いや、クラウドに預けて、必要な時にだけ取り出す。わざわざアルバムを作るだなんて面倒なことはしない。見ることよりも見せること、所持よりも発信が重要になった。ウクライナでは、戦争の姿まで変えてしまったのではないか。
毎日どころか、四六時中撮るという生活が当たり前になった時代に、鷹野隆大さんは<毎日写真>と称して、いったい何をしているのか。何を撮っているのか。「写真家」とは何をする人、何を可能にする人なのか、まずはこんな質問から始めたい。 (木下直之)
*申し込みについては会員に配信されたメールをご確認ください。
特別講演会
「コロナ禍が明らかにした日本映画の脆弱性について」
- [講演要旨]
2020年春から始まったコロナ禍と「自粛要請」により多くのミニシアターが大幅な集客減や補償の見えない休館を余儀なくされ、閉館の危機に立たされました。その後、多くの映画ファンからの支援により多くのミニシアターがコロナ禍に映画の灯を維持していくこととなりましたが、一方でそれは日本の映画文化の脆弱性を明らかにすることとなりました。日本映画はコロナ禍によって突然危機となったわけではなく、コロナ禍によってそれ以前から潜在的に抱えていた問題点が露わになったに過ぎません。今回は、映画がどのように作られていくかを作り手の立場から解説しながら、ミニシアター・エイド基金の活動を紹介しつつ、日本映画のこれからの多様性について論じていく。
[登壇者紹介]
1980年生まれ。東京都出身。99年に映画美学校フィクションコースに入学、長・短編3本を自主制作。06年、テンペラ画によるアニメーション作品「ざくろ屋敷 バルザック『人間喜劇』より」を発表。美術を担当した深澤研とともにパリ第3回KINOTAYO映画祭ソレイユドール新人賞受賞、またアニシー国際アニメーション映画祭に選出される。08年『東京人間喜劇』がローマ国際映画祭に選出、シネドライブ大賞受賞。10年、『歓待』が東京国際映画祭日本映画「ある視点」作品賞、プチョン国際映画祭最優秀アジア映画賞受賞。13年『ほとりの朔子』がナント三大陸映画祭グランプリ&若い審査員賞をダブル受賞。15年、本物のアンドロイドを主演に『さようなら』を監督、マドリード国際映画祭にてディアス・デ・シネ最優秀作品賞受賞。16年『淵に立つ』が第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査委員賞受賞。第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。18年、インドネシアを舞台にした『海を駆ける』公開。フランス芸術文化勲章「シュバリエ」受勲。19年『よこがお』がロカルノ国際映画祭コンペティション部門に選出。20年『本気のしるし〈劇場版〉』がカンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション2020に選出され現在劇場公開中。著書に小説『淵に立つ』『海を駆ける』など。
開催日:2021年5月22日(土)(開場午後12:45、開始時間13:00、終了14:30)
場所:Web会議サービス Zoom を使用(接続のための情報は申込者にメールで通知します)
対象:文化資源学会会員限定(*先着順で最大100名まで受付)
講演:深田晃司(映画監督)
進行:鄭仁善(東京大学)
13:00-13:05 挨拶(高野光平・文化資源学会会長)
13:05-13:10 企画趣旨説明(鄭仁善)
13:10-14:00 特別講演会(深田晃司)
14:00-14:30 質疑応答
*申し込みについては会員に配信されたメールをご確認ください。
特別講演会
「新型コロナウィルス時代の一現場:美術作品の点検/修復の現場における変化と展開」
- [講演要旨]
新型コロナウイルスの感染拡大が広がるなか、美術館や博物館が次々と休館し、展覧会の中止や延期が報じられたことは記憶にあたらしい。「開くはずだった」展覧会をめぐる対策の裏側で、「すでに開いていた」展覧会もまた、難しい対応を迫られた。作品の状態をどのように維持管理し、点検し、返却するべきか。本講演では、コロナ禍の保存修復の現場で何が起きていたのかを振り返り、今後の課題を再考する。
[講演者プロフィール]
田口かおり 修復士/東海大学情報技術センター(TRIC)講師。専門は美術作品の保存修復学。2014年京都大学人間・環境学研究科博士課程修了。2014年〜16年10月まで日本学術振興会特別研究員PD(東北芸術工科大学)。2016年11月より現職。著書に、『保存修復の技法と思想 古代芸術・ルネサンス絵画から現代アートまで』(平凡社2015年)、主な表彰に「第七回表象文化論学会学会賞」(2016年)がある。 「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」(国立西洋美術館)「ピーター・ドイグ展」(東京国立近代美術館)「STARS展」(森美術館)などをはじめ、展覧会コンサベーションを数多く担当している。
開催日:2020年10月10日(土)(開場14:45、開始15:00、終了16:30)
場所:Web会議サービス Zoom を使用(接続は申込者にメールで通知します)
対象:文化資源学会会員限定(*先着順で最大100名まで受付)
講演:田口かおり(修復士/東海大学情報技術センター)
進行:小泉順也(一橋大学)
*申し込みについては会員に配信されたメールをご確認ください。
第二回「コロナ禍(COVID-19)と文化資源 ー 落語家さんに聞く」
- オンライン研究会の第二回です。第一回のミュージアムに続いて、今回は芸能・舞台芸術をテーマとします。二月末の営業自粛要請以降、全国で演劇・芸能が長期休演を余儀なくされ、まさに舞台の明かりがすっかり消えてしまうという異常事態に立ち至りました。演者、劇場、劇団、興行会社、舞台技術者と、それぞれの立場でそれぞれの苦境が続いていますが、たった一人で伝統芸能を継承し演じる落語家さんは、この状況をどのように受け止めてこられたのでしょうか。ゲストに落語家の金原亭龍馬さんをお迎えして、なかなか知ることのできない落語家さんの「お仕事」の実態と現状について伺いたいと思います。
開催日:2020年6月14日(日)(開場13時15分、開始13時30分、終了15時)
場所:Web会議サービス Zoom を使用
対象:文化資源学会会員限定
お話:金原亭 龍馬(落語家)
進行:矢内 賢二(国際基督教大学、文化資源学会 理事)
第一回「コロナ禍(COVID-19)と文化資源 ー 今、ミュージアムの現場は」
- オンライン研究会は、従来の研究会と異なり、よりフランクな学会コミュニティ内での情報共有と交流の場を築くための新たな試みです。第1回は川崎市市民ミュージアムの学芸員である鈴木勇一郎さん(学会員)にご登場いただき、昨秋の大規模な浸水被害と現在のパンデミックという二重苦の状況にある川崎市市民ミュージアムについてお話しいただきます。まず、ミュージアム全般の現況について進行役が短く話し、その後、鈴木氏よりお話をいただいた後、参加者からの質問に鈴木さんと進行役が応答していきます。
みなさま奮ってご参加ください。
開催日:2020年5月31日(日)(開場 13時15分、開始13時30分、終了15時)
場所:Web会議サービス Zoom を使用
対象:文化資源学会会員限定
話者:鈴木 勇一郎(川崎市市民ミュージアム)
進行:稲庭 彩和子(東京都美術館、文化資源学会 副会長)