研究会・講演会
文化資源学会の展望プロジェクト「文化資源の現在」 は2017年1月より始まりました。
プロジェクトは2年間続き、ほぼ2ヶ月おきに研究会と講演会を開催していきます。会員であれば、どの会にも参加できます。
2018.10.27
第8回研究会 シンポジウム「文化資源と<もの>がたり」
お茶の水女子大学 大学本館306教室
- 2017年1月から始まった展望プロジェクト「文化資源の現在」が、いよいよ最終回を迎えます。最終回では、国立民族学博物館の吉田憲司館長をお招きし、お話をうかがいます。
これまでの研究会では、学会誌をふりかえる作業を行う一方で(第1-5回)、「文化資源」の現状を俯瞰してまいりました。すなわち、文化庁における「無形文化財」(第2回)の取り組みと「重要無形文化財保持者」の現実(第3回)、地方自治体における「文化資源」への取り組み(第4回)、大学教育における「文化資源」(第5、7回)、指定管理者制度と博物館・美術館(第6回)、デジタル技術による「文化資源」の活用(第7回)です。限られた回数でしたが、「文化資源」にかかわる事例を幅広くみてまいりました。
こうしたこれまでの議論をふまえ、最終回ではあらためて文化資源という観点から「もの」について考えます。文化人類学、美術史学、考古学など、「もの」を扱う学問はいろいろありますが、それぞれの学問分野で高度な議論が行われるほど、その議論で使われる言葉は他の分野では通じないものになっていきます。そうした、各学問分野における「お約束」(自明とされる前提)が露わとなるのが、博物館・美術館の展覧会という機会です。
今回お迎えする吉田憲司先生は、これまでアフリカをフィールドとする文化人類学者のお立場から「異文化へのまなざし」展、「アジアとヨーロッパの肖像」展、「イメージの力」展などを手がけてこられました。そうした、博物館と美術館にまたがるご活動とご研究についてお話をうかがいます。「<もの>がどのように語られてきたか」について語りながら、あらためて「文化資源」という見方、および「文化資源学」というアプローチに何が可能なのか考えてみましょう。
- 13:00 開場
- 13:30 趣旨説明(鈴木禎宏 文化資源学会長・お茶の水女子大学准教授)
- 13:40-14:40 講演 吉田憲司氏(国立民族学博物館 館長)
「アート(美術)とアーティファクト(器物)- 美術館と博物館のあいだ」 - 14:50-15:10 コメント(1)美術館の立場から 木下直之(東京大学教授、静岡県立美術館 館長)
- 15:10-15:30 コメント(2)考古学の立場から 堀内秀樹(東京大学准教授・考古学)
- 15:30-15:45 休憩
- 15:45-16:45 パネルディディスカッション 吉田憲司、木下直之、堀内秀樹
司会)鈴木禎宏
2018.6.9
第7回研究会
お茶の水女子大学 大学本館 128教室
*正門の守衛所にて、入構の手続きをお願いします。 (当日は土曜日のため、南門は閉鎖されています。護国寺駅からお越しになる方はご注意下さい) 大学本館は、正門から入って正面に見える、茶色い建物(3階建て)です。 本館の正面玄関を入りましたら、左にお進み下さい。「128室」は1階・左ウィングの一番奥にあります。
- 研究会の第一部では、永崎研宣会員(人文情報学研究所)よりデジタル人文学の観点から文化資源に迫るご発表をしていただく予定になっています。
第二部では、今日、日本の大学において文化資源学がどのように教えられているのかを知るための企画の第二弾として(第一弾は金沢大学でした)、同志社大学より津村宏臣先生をお招きし、ご所属の文化情報学部(学部レベル)と文化情報学研究科(大学院レベル)における文化資源学コースの実態についてご講演頂きます。
- 14:00-14:05 研究会の趣旨説明(鈴木禎宏 文化資源学会長)
- 14:05-14:55 第1部:発表
永崎研宣氏(人文情報学研究所)
「文化資源学がデジタルに期待し得ること:SAT大蔵経データベース2018版を事例として」 - デジタル媒体が広く浸透しつつあるなかで、文化資源はそれを様々な形で活用し得る状況となりつつあり、一方で、それに依拠せざるを得ない事態もところどころに生まれつつある。本発表では、そのような状況を踏まえつつ、デジタル媒体を、文化資源学における「かたち」へのまなざしが対象にし得るとともに依拠することもできるものであると措定した上で、SAT大蔵経データベース2018版を主な事例として検討してみたい。
(30分発表+20分質疑応答) - 15:10-16:30 第2部:講演「文化のオントロジーとしての資源化にむけて」
講師:津村 宏臣 氏(同志社大学 文化情報学部/文化情報学研究科 文化資源学コース) - 文化情報学部・研究科では、「文理融合」と「データ科学」を基本理念に、文化の存在とは何かを問う教育・研究を推進している。文化資源学コースでは特に、モノやコト、主体たるヒトの存在情報と表象構造(意味)としてのオントロジーの実態を、現在・未来・過去の「資源」とする方法を教授し、その運用可能な人材育成につとめている。報告では、設置の経緯など含め、具体事例をあげながら説明する。 (60分講演+20分質疑応答)
2018.4.22
第6回研究会
東京都水道歴史館
- 文化財保護法の改定が進んでいる現在、保護から活用へと文化や文化財に対する考え方が、急激に変化していることを感じます。21世紀に入ったあたりから取り上げられてきた規制の緩和、自治体統合、経営環境、民間活用など種々の変化は、文化財や博物館・美術館を取り巻く新しい環境整備が問われているとも言えましょう。今回の研究会では、地方自治体の文化財担当職員を経て、現在指定管理者として実際の博物館業務を担当しておられる金子智氏をお招きし、文化財に対する視点や運営の違いなどの実際を伺いながら、本展望プロジェクト「文化資源の現在」を皆様と共に考えて参りたいと思います。
- 13:50 水道歴史館 3Fレクチャーホールに集合
- 14:00-14:45 第1部:水道歴史館の展示解説
- 15:00-16:20
第2部:レクチャー(20分の質疑応答を含む)
金子智氏(乃村工藝社)「公立博物館、美術館等の運営における企業参画の実際―学芸業務を中心として―」
2018.1.27
第5回研究会
東京大学本郷キャンパス 法文一号館 113号室
- 14:00-14:10
第5回研究会の趣旨説明
(鈴木禎宏 文化資源学会長) - 14:10-15:20
第1部:学会誌を振り返る4
モデレーター:松田陽(東京大学文化資源学研究室)、堀内秀樹(東京大学埋蔵文化財調査室) - 前回に引き続き、文化資源学会が学会誌『文化資源学』を通して何をどう発信してきたのかを振り返ります。掲載された一つひとつの論文・報告の隣接分野、対象資料、地域、時代、方法論を特定し、表にして可視化しながら、そこからどのような全体傾向が浮かび上がるかを考えます。今回は学会誌の第13号から第14号までを振り返ります。
松田会員と堀内会員による報告40分+全体討議30分
-
15:30-17:00
第2部:講演「金沢大学における文化資源学カリキュラム: 文化資源マネージャー養成プログラムを例に、研究者・教員・学生にとっての文化資源学を考える」
講師:吉田泰幸氏(金沢大学人間社会研究域 附属国際文化資源学研究センター) - 30分ほど質疑応答
2017.9.9
第4回研究会
東京大学本郷キャンパス 法文一号館 113号室
- 14:00-14:10
第4回研究会の趣旨説明
(鈴木禎宏 文化資源学会長) - 14:10-15:20
第1部:学会誌を振り返る3
モデレーター:堀内秀樹(東京大学埋蔵文化財調査室)、土屋正臣(藤岡市文化財保護課埋蔵文化財係) - 前回に引き続き、文化資源学会が学会誌『文化資源学』を通して何をどう発信してきたのかを振り返ります。掲載された一つひとつの論文・報告の隣接分野、対象資料、地域、時代、方法論を特定し、表にして可視化しながら、そこからどのような全体傾向が浮かび上がるかを考えます。今回は学会誌の第9号から第12号までを振り返ります。 堀内氏と土屋氏による共同報告40分+全体討議30分
- 15:20-15:30 休憩
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15:30-17:00
第2部:講演「文化財と文化資源 新宿区の取組みと課題」
講師:栩木真氏(新宿区文化観光産業部文化観光課文化資源係) - 20世紀末くらいから徐々に地方公共団体において地域創生や還元などが重視されるようになってきました。今日的に問題化している地方の人口流出や人口減の中、より地域創生や地域振興としての発信ができる材料として埋蔵文化財にも注目され、その関心は周知化、活用へと移行しているとみてとれます。こうした文化財、景観、祭りなど地域の活用の流れの中で「文化資源」と呼ばれる用語が用いられるようになってきました。今回の研究会では、長年新宿区の埋蔵文化財を担当しておられる栩木真氏をお招きして、区のこれまでの、また、現在の取り組みをお聞きしながら、本展望プロジェクト「文化資源の現在」を皆さんと共に考えていきたいと思います。
2017.6.3
第3回研究会
東京大学本郷キャンパス 法文一号館 113号室
-
13:15-13:20
第3回研究会の趣旨説明
(鈴木禎宏 文化資源学会長) - 13:20-14:20
第1部:学会誌を振り返る2
モデレーター:鈴木禎宏、難波知子(ともにお茶の水女子大学) - 前回に引き続き、文化資源学会が学会誌『文化資源学』を通して何をどう発信してきたのかを振り返ります。掲載された一つひとつの論文・報告の隣接分野、対象資料、地域、時代、方法論を特定し、表にして可視化しながら、そこからどのような全体傾向が浮かび上がるかを考えます。今回は学会誌の第5号から第8号までを振り返ります。 鈴木氏と難波氏による共同報告30分+全体討議30分
- 14:20-14:30 休憩
-
14:30-16:00
第2部:講演「今右衛門の色鍋島」
講師:十四代今泉今右衛門(重要無形文化財保持者) - 前回(3月)の研究会では、文化庁文化財部伝統文化課の佐藤直子氏から日本のみならず世界の無形文化財の考え方や国としての対応などのお話しを窺い、形として見えない技術などに対して国の評価や位置づけを考える機会となりました。 そこで今回は、重要無形文化財保持者である十四代今泉今右衛門氏をお招きして、今右衛門家に伝承される陶芸の伝統的技術とその内容、歴代今右衛門の工夫や新境地、現在の重要無形文化財保持者としての諸活動の実際などについてお話しをうかがい、「文化」あるいは「文化資源」などを皆さんとともに考えたいと思います。
2017.3.20
第2回研究会
東京大学本郷キャンパス 法文一号館 113号室
- 14:00-14:10
第2回研究会の趣旨説明
(鈴木禎宏 文化資源学会長) -
14:10-15:20
第1部:学会誌を振り返る1
モデレーター:松田陽・藏田愛子(ともに東京大学文化資源学研究室) - 学会誌『文化資源学』を通読してきたという人は、意外に少ないのではないでしょうか。本展望プロジェクトの第2回〜第5回研究会では、文化資源学会が学会誌を通して何をどう発信してきたのかを振り返ります。毎回4号ずつを対象とし、掲載された一つひとつの論文・報告の隣接分野、対象資料、地域、時代、方法論を特定し、表にして可視化しながら、そこからどのような全体傾向が浮かび上がるかを考えます。今回は学会誌の第1号から第4号までを振り返ります。 松田氏と藏田氏による共同報告40分+全体討議30分
- 15:20-15:30 休憩
-
15:30-17:00
第2部:講演「今日の無形文化財−工芸技術の現状と未来への展望―」
講師:佐藤直子氏(文化庁文化財部伝統文化課工芸技術部門) - 1月の研究会をうけ、3月の研究会では「文化財」について考えます。文化資源学会には考古、美術、建築、音楽、民俗など様々な関心をお持ちの会員がいますが、多くの方が何らかの形で文化財保護法に関わっているのではないでしょうか。今回は文化庁の佐藤直子氏にご登壇いただき、文化財保護法の概要と、無形文化財(工芸技術)の分野における行政の実際についてうかがいます。文化財保護法制定(1950年)以来今日までの無形文化財保護法の変遷、更に、重要無形文化財・選定保存技術の現状、海外の無形遺産と日本の無形文化財の関係など、興味深いお話をうかがえる機会となるでしょう。講演75分+質疑応答15分
2017.1.21
第1回研究会
東京大学駒場キャンパス 駒場コミュニケーション・プラザ和館(和室5・6部屋)
- 14:00-14:10
展望プロジェクトの趣旨説明
(鈴木禎宏 文化資源学会長) -
14:10-15:30
「文化資源学」の使われ方を考える
モデレーター:堀内秀樹(東京大学埋蔵文化財調査室准教授) - 文化資源学部や文化資源学専攻、文化資源課などの名前を冠した部局を立ち上げた組織(例:金沢大、同志社大、近畿大、民博、新宿区、東京文化資源特区)が、それぞれ文化資源学をどのように定義しているのかを整理し、「文化資源」という言葉の今日的使われ方と意識を分析する。堀内氏による報告(40分)+全体討議(40分)
- 15:30-15:40 休憩
- 15:40-16:20
「文化資源学」の射程を考える:研究領域の人文情報学的モニタリング
報告者:鈴木親彦(一橋大学非常勤講師・東京大学大学院博士課程) - 文化資源学会および、東京大学の文化資源学研究専攻において蓄積されてきたテキストを、情報学のツールMIMA Searchを用いて解析し可視化する。研究領域での蓄積が情報学ではどのように可視化されるのかを示すとともに、継続的なモニタリングに活用するための可能性を示す。後半ではフロアとの討論を受けながらMIMA Searchをリアルタイムに動かし、様々な切り口での可視化、データの確認を行っていく。
- 16:20-17:00 鈴木氏による報告を受けての全体討議(40分)