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第86回 上州空っ風の遠足「世界遺産・富岡製糸場の運営を考える」

日程

  • 2023年2月26日(日)

案内人

  • 松田陽(東京大学)、黒田乃生(筑波大学)、岡野雅枝(富岡市)

開催趣旨

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 官営模範製糸工場として1872年に設立された富岡製糸場は、1987年に片倉工業株式会社が操業を停止するまで、一貫して製糸工場として稼働し続けた大規模な産業遺産です。今日、工場全体が日本の近代化の軌跡を示す文化財として国史跡に、また敷地内に現存する創業当初の主要な建造物群は国宝・重要文化財に指定されています。2014年には富岡製糸場は「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産としてユネスコの世界遺産リストに登録されました。

 現在の富岡製糸場の敷地と建造物群は富岡市の公有資産となっており、2005年以来、同市がその保存・維持管理を行いながら、一般公開をしてきました。市は2008 年に富岡製糸場の保存管理計画、2012 年に整備活用計画を策定し、「富岡製糸場が重ねてきた歴史とシステム」を保存管理し、また重視しながら整備するという基本方針を定めています。

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 富岡製糸場では、その運営のあるべき姿が模索され続けてきました。一般公開の初年度には約2万人だった入場者数は、2007年度には約25万人となり、入場の有料化が始まります。世界遺産に登録された2014年度には130万人を超える入場者数を記録したものの、登録フィーバーが冷めるとともに数は減り、2019年度には約44万人となりました。2020年に始まるコロナ禍によって見学料収入のさらなる激減を経た後、現在ようやく入場者が少しずつ戻ってきているところです。富岡市は、製糸場の運営に一般財源を投入せず、見学料収入を基本的財源とする方針を採用しているため、入場者の増減は運営に直接的な影響を与えます。国宝三棟を含めた多数の建造物と施設の整備・維持管理を進めながら、公的補助金やクラウドファンディングも積極的に活用するなど、運営の模索は続きます。

 2020年からは、国宝「西置繭所」内に新設された多目的ホールのユニークベニューとしての活用が始まっています。西置繭所の整備に際しては、試行錯誤の結果、木骨煉瓦造建物の内部に鉄骨と強化ガラスを使用した多目的ホールとギャラリーがハウス・イン・ハウスの形式で挿入されました。この整備は「硬直的な保存ではなく、今後の活用を視野に入れた創意工夫がなされており、文化財保存・活用の先導的事例」と評され、西置繭所は2022年の日本建築学会賞の業績賞と作品賞を受賞しました。

 今回の遠足では、製糸場から「旧製糸場」へ、そして「文化財」、さらに「世界遺産」となった富岡製糸場の過去と現在を学びながら、その未来のあり方を考えます。西置繭所内の多目的ホールを使用し、ワークショップ「富岡製糸場の運営を考える」も実施します。

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行程

11:00 富岡製糸場正門前の旧韮塚製糸場(入場無料)内で集合

11:10-12:30 製糸場内見学(東置繭所→西置繭所[位置のみ確認]→敷地北側の社宅群[とりわけ社宅76]→行啓記念碑→繰糸所→首長館のある敷地南側・寄宿舎群エリア)

12:30-13:20 一旦退場し、各自で昼食(製糸場周辺の飲食可能な場所を示した地図を配布)。再入場のためにチケットを保持すること。

13:20 チケットを再提示して製糸場に再入場し、西置繭所内の多目的ホールで再集合

13:30-14:00 西置繭所保存整備工事の基本方針についての説明→西置繭所内の見学+音声ガイドを聞きながら自由見学

14:00-15:30 西置繭所内の多目的ホールでワークショップ「富岡製糸場の運営を考える」を実施

15:40 西置繭所にて解散(17時の閉場まで場内の自由見学も可)

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- 富岡製糸場へのアクセス情報:最寄り駅の上州富岡駅(上信電鉄上信線)から富岡製糸場までは徒歩10分。

- 富岡製糸場の地図情報


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