第75回 皆月の遠足「東京朝鮮第二初級学校で授業を体験する」
日程
- 2018年6月16日(土)
案内人
- 春日恒男(会員)※学校概要と枝川裁判の解説、授業、枝川フィールドワークは朝鮮学校教員が担当
2003年12月、東京都は東京朝鮮第二初級学校を都有地の不法占拠で提訴し、これを不当とする学校側と争いました。これがいわゆる「枝川裁判」です。
この裁判は2007年3月、和解の成立により終結しました。この裁判では、国際人権諸条約(国際人権規約、子どもの権利条約、人種差別撤廃条約)による<民族教育を受ける権利>の保障、<多文化共生社会>の実現など重要な問題が提起され、その結果、内外からも多数の支援が寄せられました。和解金1億7000万円も在日朝鮮人、日本人のみならず韓国からも寄せられた支援金によって期日までに東京都に支払うことができました。
しかし、裁判終結後10年を過ぎた今、朝鮮学校を取り巻く状況はどうでしょうか。昨年の一連の「朝鮮高校無償化裁判」の判決を見る限り、争点は政治的な枠組みのみで語られ、肝心の子どもたちの<民族教育を受ける権利>は依然として忘却されたまま、厳しい状況が続いています。
今日、上記の諸条約により、国際社会では外国籍、民族的マイノリティーの子どもの学習権、とりわけ継承語Heritage Language(親の言語)を学ぶ権利が広く保障されています。日本では1989年の入管法改正以来、ブラジル人、ペルー人が急増し、各地にブラジル学校、ペルー学校が生まれています。
また、近年では、「インターナショナルスクール」等もますます増加の傾向にあります。このような状況から振り返ると、朝鮮学校はこれらの学校の先駆であったことに気がつきます。朝鮮学校の前身は、敗戦後の1945年、植民地支配下で母国語を奪われていた子弟に朝鮮語を教えるために設立された「国語講習所」でした。まさに継承語を学ぶことこそ朝鮮学校の原点だったのです。上記の諸条約の批准国である日本は、その責務を自覚するとともに、朝鮮学校の<民族教育>を政治的な枠組みだけで語るのではなく、継承語教育という普遍的で根源的な文化の問題、普遍的な人間としての権利として捉えなおす時に来ているのではないでしょうか。
<近くて遠い場所>。今、私たち(日本人)が朝鮮学校を語る時、これほどふさわしい言葉はありません。まず、自らの足で朝鮮学校を訪問し、そして、自らの目でその<民族教育>を見て、自らの頭で考えてみようではありませんか。
なお、遠足は12:30ですべて終了しますが、同日、同じ場所で16:00からフリージャーナリストの中村一成氏による講演「ヘイトの現場から」(主催:枝川朝鮮学校支援都民基金)があります。ご興味のある方は各自、ご自由にご参加下さい。
行程
学校概要と枝川裁判の解説→施設見学→授業体験(初級1年生の国語(朝鮮語))→枝川フィールドワーク(枝川の街を歩きながら、枝川地区の歴史と現状について学ぶ)→解散